勇気
私が小学校の時だ、2年生で転校して新しい学校に来た。
なかなか新しい環境に慣れず、登校拒否になった朝になると「足が痛い!」と言っては母を困らせていた。
そんな日が何日か続きもう自分でも、あまりうちとけてないクラスに帰る勇気はなくなっていた。
ある日、朝起きると家の中に母の姿はなかった。
いくら探しても見つからない。家の中に一人心細くなった私は、学校の方へ向かっていた。
恐る恐る教室を覗くと小学生の中に一人、私の机に母が座って授業を受けていた。
恥ずかしいような、申し訳ないような、不思議な気持ちだった。
「何であんなことしたの?」
と帰ってから母に聞くと「お母さんも学校に行ってみたかっただけ」と言った私はなぜ学校に行くのを怖がっていたのかわ
からなくなり、次の日から学校に行けるようになった。
私も今は親になった。
この先自分の子供が同じような事になった時、母のような事ができるだろうか。
あの日勇気をくれた母には感謝と尊敬の気持ちでいっぱいになる。