宝くじ売り場のお話。
毎日私は小さなボックスで宝くじを売っている。
雨の日も、風の日も・・・
この頃顔見知りになったおばあちゃんがいる。
毎日、5千円くらい、ロトやジャンボを買っていく。
いつもニコニコしていて、声をかけてくれる。
「あたりましたか」
「あたらないね」
と話す毎日だったのだがこの頃変化が起きた。
来て1ヶ月。おばあちゃんに500円当たった。
すると、おばあちゃんは、近くのドーナツ屋にいって「おすそわけ」といって
ボックスのお金を収受する小さな窓からドーナツを2個入れてくれた。
そんな感じで小額でもあたるたびに
おばあちゃんは、ドーナツや
シュークリーム、お菓子などをあの小さな窓から仕入れてくれた。
先週のこと、とても暑い日だった。
お客さんがジャンボを買うために
ボックスには列が出来ていた。
ふと、みるとおばあちゃんが紙袋を持って並んでいた。
おばあちゃんの番になった。
すると、紙袋から取り出したのは
ケンタで買ったアイスコーヒーフロート。
小さいサイズならこの小さな窓を通過したのだけど、大きなサイズだから通過しない。
いろいろ試したのだが通らない。
結局横に倒して通過させてくれた。
窓を越えた時に少しコーヒーが飛び出したけど
そこまでしてくれる彼女の気持ちが嬉しかった。
後ろに待っているお客さんに気を使っているようで、早めにそこを去って言った。
この日は頭がボーっとするくらい熱く、彼女のコーヒーは有難かった。
そして今日、おばあちゃんにまたあった。
すると「この前はごめんね。こぼれてよごしちゃったでしょう」といった。
私は丁寧にお礼を言った。
あの日は大変熱かったが、冷たいコーヒーの差し入れで助かったと。
おばあちゃんは、いつものように5千円の宝くじを買うとまんべんの笑顔で立ち去って言った。
どうかおばあちゃんにいつか大きな当たりが来ますように