小さな封筒のお話。(秘密)
そして、いつも通りの日が続いて、 日曜日になった。
日曜日は、学校が開放されていないので、みんなは家で遊ぶか暇を弄ぶぐらいだった。
俺はあの女の子が、何時からバス停にいるのだろう、と好奇心で、11時ぐらいにバス停へ向かった。
さすがにこの時間にはあの女の子はいなかった。
しばらく待っていよう、と持ってきたお金でアイスは何個か買って、
駐車場に座って待っていた。
1時になるかならないかぐらいだった思う。
あの女の子がやって来た。
その足どりはとても不安定で、今にも転びそうなほど弱弱しかった。
また、この暑い中、誰かを待つのか・・・
とりあえず、こんな暑い中、外にいると気が狂いそうになるから
すぐに家に帰った。
そして4時ぐらいに、夕立が来た。
結構激しい雨だった。
あの女の子は、傘をもっていなかったことを思い出し、傘を持って行くことにした。
その女の子は濡れながら、バス停にたっていた。
傘を渡すと、
「あれ、さっきいた子?」
と聞いてきた。
とても高い声で、そして弱弱しかった。
「さっきもいたけど、いつもおるんで」
「あぁ…5時10分らへんになると、たくさん小学生が来るわね」
「学校の校庭で、遊んでるんだ」
「そう。楽しそうね」
「楽しいよ」
しばらく、沈黙が続いた。
雨が叩きつける音が、響いていた。なぁ。ここにいっつもおるけど、何しちょんの?
(何をしているの?)」
しまった、首を突っ込みすぎたか、と
ガキながら、冷や汗をかいた。
「ははは。お姉ちゃんはね、ある人を待ってるの」
「ある人って恋人とか?」
「秘密」
その女の子は、大きな目を細くして微笑んだ。
ガキの俺は、少しドキッとした。
胸のドキドキがヤバくなってきたので、
さっさと家に帰ろうとしたら、女の子が傘を返そうとした。
明日、返してくれればいい、と返事をして、急いで帰った。
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