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親が子供を送ってはいけないのお話。

玉屋ブログ

母の葬式の時、祖母(母の実母)は「親が子供を送ってはいけないんだよ」と言って、
斎場から火葬場への車に決して乗ろうとしなかった。
俺は子供ながらにも疑問に感じ、

「何で?何で?」

と泣きながら何度も聞いた。

でも、無駄だった。

祖母は、お嬢様育ちで、おっとりした鷹揚な人だった。
それに対して、母は、所謂「いらち」で、ヒステリックなタイプだった。
母は、祖母のやることなすことにイライラしどうしだったし、
祖母は、母の監視・小言を持て余していた。
よく喧嘩もしていた。

母が息を引き取った時も、通夜・葬式でも、祖母はまったく涙を流さなかった。
だから、この時も、「ママのこと、そんなに嫌い?おばあちゃん、冷たいよ」と思った。

でも、見てしまった。
火葬場から帰って来た時、祖母は母の遺品(というより、入院中の荷物)を整理しながら、
家の中で、一人泣いていた。
当たり前なんだけど、祖母にとって母は娘だった。

あとで聞いた話だが

子供の俺のことを思うと、俺の前では泣いてはいけないと思った、と祖母は言った。

今でも、

親が子供を送ってはいけない」という決まりがあるのかどうか、
定かなことは知らない。

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