初孫のお話。
俺は長男で初孫だったから、生まれた時はみんな喜んだらしい。
特に母方のじいちゃん。いっつも酒飲んでたらしいけど、俺の相手するときは絶対に飲まなかったらしい。
多分誤って怪我させたりするのが怖かったんだと思う。
それほど、俺を大事に思ってくれてたじいちゃんだったから、俺も本当に懐いてた。
幼稚園にあがろうとしてた3月、じいちゃんが肝硬変で倒れた。
その時俺は「病気」とかをよくわかってなかったから、ベッドで寝てるじいちゃんを見るたびに
「なんで遊んでくれないのかなー」とか思ってた。
一ヵ月後の4月、俺は幼稚園の入学式を終えた後に、じいちゃんの入院してた病院に行った。
というか、母親がごねる俺を説得して連れて行ったらしい。
多分、遊んでくれないじいちゃんを見るのが面白くなかったんだろうな。
でも、その病室に行った後の事はよく覚えてる。
びっかびかの服装で行った俺の頭に、じいちゃんが手を乗せて言ったんだわ。
「大きくなったなぁ。ワシじゃもう抱っこもできねぇなぁ」
って。
後ろで母親すげー泣いてた。俺はじいちゃんの行動も、母親が泣いてる原因もピンとこなかった。
それから2週間位してじいちゃんが亡くなった。
葬式が終わっても俺は全然わかってなくて、じいちゃんが火葬場に連れて行かれて燃やされようとしてるときに、
母親に聞いた。「じいちゃんどうなるの?」って。
そしたら「燃やされて、天国に行くんだよ」って母親が言った。
天国とかもよくわからなかったけど、じいちゃんがいなくなるのだけはわかって、大声で泣いたっけ。
「じいちゃんいなくなっちゃやだー!」ってずっと泣いてた。周りの大人たちも泣いてた。
それからもう15年も経つけど、毎年実家に帰るときは母方の家に行って仏壇に線香供えるのを欠かしてない。
明後日に実家に帰るから、またお土産持って線香供えに行こうと思う。
今年の土産は酒にしようと思ってる。やっと、じいちゃんと一緒に呑める歳になったんだから。