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料理は愛情のお話。

玉屋ブログ

親父の記憶は全く無いし、顔も名前すら知らない。

母子家庭なのだが、母も仕事で忙しく俺は小さい頃から祖母に育ててもらった。
いつもばあちゃんは、「ひもじいか?」と言い、卵と醤油だけの炒飯を作ってくれた。
それが絶妙な味で、俺も一端の料理人なのだが、何度挑戦してもあの味は出せないでいる。

毎日一緒にいたばあちゃんも、小4の頃に糖尿病で他界した。
人前で泣くのがかなり恥ずかしい年頃なのに、葬儀中に大声で泣いた。

高校の時に、母とばあちゃんの思い出話になった。「ばあちゃんね、料理なんか全然しなかったんだよ」「でもね、お前にご飯食べさせる為に」「不器用だからたったひとつしかレパートリーなかったけど、ご飯作ってくれたんだよ」たしかに今思えば、ばあちゃんの作る炒飯は美味いとは言い切れない。

だが俺の思い出の中では、未だに追いつけない味なんだよな。
まさに、料理は愛情ってヤツだ。

ばあちゃんに、俺の炒飯食べさせてやりたかった。

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